安永の主力事業である、自動車・産業機械向けエンジン部品の精密加工。その中でも5C部品と呼ばれるエンジンの機関部品のひとつにコネクティングロッドがあります。2017年、世界で販売されたおよそ8千万台の新車に使われているコネクティングロッドのうち、安永の製品は約5%のシェアを占めています。これは自動車メーカー以外の企業としては世界有数の生産量で、主力事業を支えるニッチNo.1なのです。
エンジンは自動車にとって心臓とも言える重要な部分であり、エンジン部品を自社内で生産するメーカーも多いのですが、そんな部品の外製先として指名されるに足る実績と技術を、安永は持っているのです。
コネクティングロッドの生産を支えているのが、工作機械で培ったノウハウ。工作機械には、様々な種類の部品加工ができる汎用機と、ひとつの部品を加工するために設計された専用機が存在します。安永ではニッチである専用機に特化し、長年にわたり技術を高めてきました。自社内で加工も行っているため、設計側だけに留まらない視点も得ることで、相乗効果でノウハウを蓄積してきた強みがあります。
その中で自動車メーカーの製造現場に機械も納入するなど、コネクティングロッドの加工専用機というニッチNo.1を研ぎ澄ませることで、メーカーと同一環境での部品加工が可能となり、自動車の心臓部・エンジン部品の外注に至っています。
脆くて硬い材料を、薄く精密に大量切断するワイヤソー。受託産業ばかりだった初期の安永が、最初に自社開発を始めた製品がワイヤソーでした。
ビデオデッキの読取部分に使用する磁石を切ったことからスタートし、時計の中の水晶やLEDに使用されるガリウムヒ素など、時代に合わせた材料を切断する技術を磨いてきた安永。材料に強い日本のメーカーと共同で世界の最先端材料を扱うことで切断のノウハウを得て、その材料が世界に広がっていくとともに専用のワイヤソーを普及させ、ニッチNo.1の座を獲得していきました。
検査測定装置は物の厚みを測るレーザーセンサの開発から始まり、技術を蓄積し半導体の端子の平坦度を測定するセンサを開発。それまでの測定方法よりも優れていることを実証し、標準化委員会によって平坦度検査の基準測定方法として定められました。現在も、日本国内の車載半導体検査の測定装置としてニッチNo.1を誇っています。
また、工作機械と同様に専用機の開発に特化し、汎用機で測定できない、精度がシビアな製品や複雑な製品を測定するため、専用設計の製造も行っています。さらに産学協同で生まれた技術を活用し、本来「点」でしか測れないレーザーを動かすことなく「面」を測定する技術を開発。点から線、線から面へと進化するなど、時代を驚かせる技術を生み出してきたのです。
1970年代、取引のあったミシンアームのメーカーから安永の加工技術が評価されたことがきっかけで、浄化槽内に空気を送るロータリー式曝気ブロワの製造に進出したのが始まりだった環境機器分野。現在は、浄化槽の曝気ブロワと独自に開発したディスポーザシステムという、2つのニッチNo.1を軸に展開しています。
ブロワ内でオイルを使用するオイル式から、乾式のダイヤフラム式のエアポンプに変更したり、低炭素社会実現に向けた省エネ化など、環境改善ニーズに合わせて製品改良に取り組んできました。生ゴミをその場で流せるディスポーザは、キッチンの衛生を改善し都心のタワーマンションを中心に人々の生活を陰から支える技術を、時代のニーズに合わせて進化させてきた事業です。
「電動化」「自動化」「コネクテッド」
今、技術革新の波が現在の自動車業界を大きく変えようとしています。
しかし現状は、充電スタンドといったインフラの整備問題や新興国での車需要など、エンジン車の需要は依然として高いまま。さらに自動車メーカーが電動化の研究に注力することで、今まで内製していた既存技術のエンジンを外製に移す動きが高まってきています。そこにエンジン部品に強い安永が狙うべき次なるニッチNo.1があるのです。
さらに電動自動車には、多くの半導体や電子部品が搭載されています。高精度を要求される車載半導体の需要が増えることで、半導体の製造に使用されるワイヤソー、検査で必要な検査装置も必要となってくるのです。
既存のエンジンに関わる製造はシェアを拡大し、電動化という新たな技術の需要にも応える。変革に「対抗」せず「貢献」することが、ニッチを狙う安永の回答です。
時代が動くとき、同時に新たなニッチも数多く生まれます。
自動車に限らず、家電など世の中の様々な物に電子部品が使われる時代が来ることで半導体もさらに進化が求められ、シリコン以上に効率の良い材料に変化します。時代の流れに合わせ安永も、硬質な炭化珪素を放電加工で切断するワイヤソーを開発するなど、新材料の切断に長けたワイヤソーで、次のニッチNo.1の確立を目指していきます。
さらに新たな技術として、熱電発電素子やリチウムイオンバッテリー(LIB)の集電箔の開発にも着手。集電箔に特殊な加工を施すことで、集電箔のハイパワー化や長寿命化を目指し研究を続けています。LIBは、電池としての状態よりも集電箔などの部品の状態の方が輸出時のハードルも低いため、世界を相手にグローバルニッチNo.1を狙い、さらなる性能向上のための研究を続けているのです。
安永は、挑戦する心を持って新しいことにチャレンジできる人材を求めています。学生時代に学んでいた分野と異なるジャンルで活躍する社員も多く、畑違いの新しいことでも前向きに学べる、積極的に自分の意見を言える人ほど成長できる環境が整っています。
そのためにも、「その人自身のキャラクター」を伝えてほしいと思っています。人間関係や自主的な活動など、学業以外の面で本人が意思を持ってやってきたこともアピールしてほしいです。