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熱電発電モジュール開発の発足~未来

PROJECT 01熱電発電モジュール開発
の発足~未来

現在、「100年に一度の変革期」を迎えていると言われる自動車業界。
このパラダイムシフトを乗り越えるべく、研究・開発している技術のひとつが熱電発電素子の研究とそのモジュールの開発だ。
熱電発電モジュールとは、温度差を利用した発電を可能とするモジュールである。
エンジンの出す排熱を直接電気エネルギーに変換できるため、自動車の燃費向上に寄与することができる。
クリーンで持続可能な社会の実現のため、安永は日夜研究を続けている。

R&D本部
上級研究員

田口 豊

R&D本部
主任研究員

坂本 達也

熱電発電の技術を、新たなステージへ導く。

田口
私たちの研究プロジェクトは、半導体用シリコンをワイヤソーで切断した際に出る切りくず(シリコンスラッジ)を、発電素子に再利用できないかという課題からスタートしました。それまでの素子の主流はBi-Te系で、一般的な排熱の大半を占める250℃前後までの温度域で利用可能な素子です。しかし自動車の排熱は300~500℃という中温度域の排熱も多く、「自動車の排熱を有効利用するための素子」というニッチな部分を狙い、中温度域での使用に耐えうるシリサイド系の素子・モジュールの研究開発を始めました。
坂本
熱電発電モジュールには「材料」「素子化」「モジュール化」という3つの要素が必要となり、段階的に開発にあたっています。材料の段階では、出力性能と耐久性の向上はもちろんのこと、コストも厳密に決まっていて、低コストでありながらお客様の求める性能を満足させることが必須。また、熱電の材料には資源が少なかったりカントリーリスクを抱えていたり、RoHSで規制されている元素も多く、毒性が無く大量生産にも向いているシリコンが世界的にも注目されています。

未来を拓く、新たな素子の開発に成功。

田口
プロジェクトがスタートした当初、研究していたのはマグネシウムシリサイド(Mg2Si)という材料でした。しかし、研究を繰り返してもお客様の求めるレベルの性能に到達できず。そのため研究対象をMg2Siからマグネシウムシリコンスズ(Mg-Si-Sn)に移すことを決定しました。
坂本
そこから1年かけて300回以上の試作を重ねながら、試作の間にも開発に関わる分野の過去の論文や文献を徹底的に調べ上げ、チーム内で方向性を議論しました。その結果、品質の安定した、劣化しづらい材料が完成。テストを依頼した国内外の企業からも優れた性能を高く評価していただくことができました。これにより負極にあたるn型半導体の発電素子が完成したため、今後は正極であるp型半導体やモジュールの研究開発にさらに注力していきます。
開発したMg-Si-Sn素子

実現不可能という定説を、信念で覆す。

田口
研究対象に選んだMg-Si-Snは、性能は申し分無いものの耐久力に難がある、というのがこの分野での定説。「この材料に進むのは泥沼に行くようなものだからやめたほうがいい」と忠告されるほどでした。
坂本
実際この材料への進出は非常にチャレンジングで、出力性能の高さからアメリカやドイツなど世界各地で研究されていましたが、どれも酸化・劣化に苦しめられ成果を出せずにいたものでした。しかし田口さんの「材料は、作り込めば必ず良いものができる」という信念のもと、チーム一丸となって耐久性不足の克服にあたり、世界で初めて実用レベルのシリサイド系熱電素子の開発に成功。適切なプロセスで丁寧に作ることができれば、問題を解決できる、ということを証明できたことが嬉しかったです。
熱電発電モジュール 外観

目指す未来を、実現するモジュール。

田口
熱電発電モジュールが量産化され市販の自動車に搭載されるようになれば、エンジンの排熱を電気エネルギーに変換しモーター駆動への利用が可能になります。結果、車の燃費が向上しCO2排出量の削減に寄与することにつながるのです。具体的には、燃費改善の1アイテムとして、私たちの研究するシリサイド熱電モジュールで2~3%の燃費改善に貢献するのが目標。現行の製品を上回るパフォーマンスを持つ製品を生み出し、ニッチNo.1となることで、きちんとした事業化をしていかないといけません。
坂本
ニッチNo.1を目指すためにも、性能や耐久性、コスト、サイズなど、お客様によって多種多様なモジュールの要求仕様にしっかりと応え、見合った製品を作ることがモジュール研究の後発である私たちの使命だと思っています。今後、CO2の削減によって地球環境に寄り添う車を開発することを求められるようになる自動車業界で必要とされ続ける技術を、いま私たちが創り出しているという自負があります。

どんなに高い壁も、乗り越える覚悟を持つ。

田口
Mg-Si-Snを材料にすると決めたときも、困難な研究だと理解はしていましたが必ず克服できると信じて実験を繰り返しました。研究のキーパーソンである坂本さんを中心に、チームで話し合いながら改良を重ね実用レベルの耐久性を持つ熱電素子の完成に至ったのです。
坂本
耐久性を改善させることができたのも、チーム内の努力や問題が発生するたび文献や論文の情報。さらに本だけでなく共同研究してくださっている社外の方々に多くの話をお伺いできたことで、様々な知見を得ることができたのが大きな要因だと思っています。
田口
国の主導する「未利用熱プロジェクト」に参加させていただいたり、産業技術総合研究所の研究者の皆様の指導、安永と共同研究をしていただける大学の先生がたの知見。多くの力が結集することで、この研究開発が続けられています。
坂本
今後も熱電発電モジュールの完成に向けて、各所の知識・技術のお力添えをいただきながら、さらなる研究開発に邁進していきたいです。

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